デジタル貨幣・デジタル通貨について教えてください。
このお悩みにお答えします。
本記事の内容
- デジタル貨幣・デジタル通貨(ビットコイン)について
デジタル貨幣・デジタル通貨は「デジタルに変換された通貨として利用可能なモノ」です。
身近なものでは「Suica」「PayPay」「ビットコイン」などです。
実際に現金を持たなくてもデジタルデータが現金の代わりに使えますよね。
その中でも今注目されている「ビットコイン」について解説したいと思います。書籍「ビットコイン・スタンダード」を参考にしています。
誰でも分かるように説明しますね!
デジタル貨幣・デジタル通貨の電子マネーと暗号資産(ビットコイン)
「Suica」「PayPay」は電子マネーに分類され、「ビットコイン」は暗号資産(仮想通貨)に分類されます。
この違いは、次の通りです。
- 電子マネー:法定通貨をデジタル化したもの。「Suica」は円しか扱えません。
- 暗号資産:特定の国家に依存しないデジタルな通貨。世界共通のデジタルな通貨。
デジタル通貨といっても種類があるのですね!
デジタル貨幣・デジタル通貨としてのビットコイン
1950年にコンピュータが製造され、世界的な通信改革がはじまりました。
金融や決済にコンピュータやネットワーク技術が多く使われる一方、新しい貨幣がつながるような革新はありませんでした。
そして現れたのは「ビットコイン」です。ビットコインは貨幣の問題をデジタル技術で解決しようとするプロジェクトです。
まずビットコインには以下4つの機能があります。
- デジタル通貨の発行および送信のためのネットワーク
- ネットワークで発行される独自のデジタル通貨
- ブロックチェーンでのビットコイン所有権とその移転を記録する公開分散型台帳
- ビットコインコアと呼ばれるオープンソースソフトウェア(OSS)開発プロジェクト
このような働きがありますが独自通貨(暗号資産)としてのビットコインを指すことが多いです。上記の要素については後述します。
ビットコインはデジタルデータです。いままではデジタルデータなら無限に複製できるため希少性がないと言われていました。
複製できるデジタルデータの貨幣を作ることは不可能だと言われていました。
たとえば、AさんからBさんにデジタルデータで1000円渡したとき、Aさんの方で1000円をコピーしてしまえば無限にお金が増えてしまうのです。
この問題を解決するために、第三者を間に挟むことにしました。AさんからBさんにデジタルデータで1000円渡したときは、Aさんは仲介であるCさん1000円渡し、CさんからBさん1000円渡すことで成り立たせていました。クレジットカードやSuicaもこの方式です。
間で管理する人(業者)がいるので不正を防ぎます。
ビットコインの特徴は、デジタルデータでありがなら仲介業者を挟まずに個人間でお金のやりとりができることにあります。
さらに検証可能な希少性を持つことで、現金と電子決済のメリットを併せ持つデジタルキャッシュになったのです。
ビットコインは中央集権ではないため国や政府が好き勝手に供給をコントロールできません。
このビットコインを開発したのは「サトシ・ナカモト」です。P2P分散ネットワーク、ハッシュ化、電子署名、プルーフ・オブ・ワーク(POW)という既にある技術を組み合わせることでビットコインの開発を成功させました。
用語説明
- P2P:Peer to Peer。複数のコンピュータ間で通信を行うこと。(中央で管理するサーバがない)
- バッシュ化:データを暗号化するときに使われるもの。文字列を解読不可能な文字列へ変換する。例)suzuki → 92ahwef82
- 電子署名:データが改ざんされていないことを示す署名(サイン)
- プルーフ・オブ・ワーク:ビットコインの送金データが正しいことを検証するための作業
仕組みとしてはビットコインブロックチェーンにより、ビットコインの所有権とその移転を記録した台帳をもっています。これは世界各地のコンピュータで管理されていて、誰でも内容を見ることができます。つまり誰がいくらのビットコインをもっているかが公開されています。
台帳管理なので家族のお小遣い帳があり、誰がいくら保持しているのかをメモ帳にメモしているようなものです。誰かが使ったりしたら都度、台帳に記入していきます。そのため、いままでのお金の動きがすべて分かります。
ビットコインを送金するには、トランザクションと呼ばれる送金金額や送信先の情報を含むデータをビットコインネットワークにブロードキャストします。つまり、ビットコイン専用のネットワークがあり、そこにいる全員に「Aさんのビットコイン1000円をBさんに送金します!」と伝えます。
データは10分毎にブロックと呼ばれる1つのデータにまとめて台帳に記録します。好き勝手に台帳に書き込めてしまうと不正が起きてしまうため、コンピュータで計算して、情報が正しいと承認されると書き込むことができます。この作業をプルーフ・オブ・ワークと呼びます。
この計算は誰がやっても良いことになっていて、一番早く計算した人が台帳に書き込む権利を与えられます。計算した人には報酬としてビットコインが支払われる仕組みです。この計算に膨大な電力がかかっています。
プルーフ・オブ・ワークの作業は、貴金属の採掘に似ていることからマイニングと呼ばれています。プルーフ・オブ・ワークの作業をする人をマイナーと呼びます。
現在、中央銀行で発行される貨幣は融資や財政の支出に使われます。一方でビットコインネットワークで発行されるビットコインはマイニングの報酬です。権力の強い国や政府に好き勝手発行されたり、使われることはありません。
サトシ・ナカモトはビットコインに次のルールを設計しました。
- ビットコイン誕生から最初の4年は1ブロックにつき50ビットコインを発行する
- 約4年毎に発行数を半減させる
- 総供給量を2100万枚とする
このルールは変えることができません。ビットコインが2100万枚発行されたら、誰が何をしようともビットコインがそれ以上発行されることはありません。
ビットコインの需要が増えると、ビットコインの価格が上がります。日々変動しますが2021年では1ビットコインあたり500万〜600万の価格になっています。これはビットコインをマイニングしたときの報酬を上がることを意味します。ビットコインの供給は減っていきますが、価値があることで収益性が上がる仕組みです。
さらにマイニングの参加者が増えれば、10分掛かっていたプルーフ・オブ・ワークも次第に早くなっていきます。早く計算した人が報酬を受けられるため、誰しもが計算を早めようとするためです。
マイニングに費やされる資源の増加はセキュリティ強化にもつながります。プルーフ・オブ・ワークの参加者全員で計算をするため、不正にデータ書き換えようとすると、他のコンピュータにすぐ検知されてしまい台帳への記録が拒否されます。
このように送金処理をすると、ビットコインネットワークに所属している全てのコンピュータが正しさを検証します。正しいことが認められると台帳に書き込めます。送金に必要なのはビットコインアドレス(ビットコインを扱うときの住所のようなもの)であり、所有者の氏名などの個人情報にはひも付きません。ビットコインアドレスを見ても、現実世界では誰なのか分からないことを意味します。
マークルツリーの開発者ラフル・マークルはビットコインを生命体といっています。
インターネット上に生息し呼吸している。生かしてもらう見返りに人々に報酬を与える。人々が喜んで対価を払う有益なサービスを提供することで生きている。
ビットコインは一度走り出したら、変えられない、反対もできない、買収もできず、改ざんもできない、破壊や一時停止もできないのです。
プルーフ・オブ・ワークは1ブロックにつき50ビットコインを発行し、21万ブロックが生成されるたびに半減するようにプログラムされています。21万ブロック作成されるのが約4年です。次のように半減しています。
- 2012年11月28日 1ブロックにつき25ビットコインに半減
- 2016年7月9日 1ブロックにつき12.5ビットコインに半減
- 2020年5月11日 1ブロックにつき6.25ビットコインに半減
たとえば2021年で1ビットコイン500万と考えても、1ブロックのプルーフ・オブ・ワークをすれば3000万以上のビットコインが手に入ることになります。この額の報酬が入るのであればプルーフ・オブ・ワーク参加者が多くなるのも納得できます。
またこのペースでいくと2140年に2100万に近づきビットコイン供給は完全に停止します。最初の2000万ビットコインの発行には20年程度ですが、残り100万ビットコインの発行には100年以上かかります。
今後25年でビットコインは27%増加するのに対して、金は52%、日本円は64%、ドルは272%の予測です。これはビットコインの市場性を高めます。貨幣として価値があることを示します。
最初にビットコインに現実のお金を払ったのは2009年10月5日です。ニュー・リバティ・スタンダードという取引所が1ビットコインを0.000994ドルで販売しました。
そこからビットコイン価格は上昇を続けました。2017年には1100億ドルに達し、ビットコインの貨幣価値は世界で56番目になりました。モロッコやペルーの貨幣よりも大きくなったのです。
送金件数も2009年は約3万件でしたが2017年には1億件を超えました。
また送金には手数料があり、送金するときにマイナーに支払います。0円で設定することもできますが手数料が高い人を優先して処理します。ブロック報酬だけではマイニングコストを回収できないためです。
送金手数料は次第に増えていき、2017年には7ドルまで高騰しました。
いまもビットコインは成長し続けています。今後も注目したい通貨です。
デジタル貨幣・デジタル通貨について分かりました!
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